1.相続は、被相続人の死亡により開始します。
相続開始直後は、お通夜・告別式等ご葬儀が重要ですから、まずそれが優先されるのは当然です。死亡届を提出して、戸籍や住民票の記載の変更を行うこと以外にも、年金や健康保険関係の手続き、公共料金支払い手続きの変更等様々な手続きが必要になりますが、ここでは手続きの期限があって間に合わないと不利益を被る重要事項について説明します。
なお、以下にご説明する期限は、各手続きによって始期が異なりますから、十分ご注意下さい。問題のあるケースにつきましては弁護士にご相談ください。
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2.相続放棄、限定承認の手続き(3か月以内)
相続人になったことを知ったときから3か月以内に家庭裁判所に申述の手続きをする必要があります。かなり短い期間であるため十分注意する必要があります。手続き期間が短いのは、権利関係を早く確定させて法的な安定性を確保するためですが、他方、相続人が被相続人の財産状況を調査して、放棄等の手続きを選択する機会も必要です。相続開始後3か月を経過しても放棄等の手続きを有効に行える場合もありますので、はっきりしないケースについては弁護士に相談することをお勧めします。
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3.準確定申告(4か月以内)
亡くなった人は確定申告が出来ませんので、相続人が代わりに確定申告することになります。これを準確定申告と言います。確定申告をしなければならない人が確定申告期限(原則として翌年3月15日)までの間に確定申告書を提出しないで死亡した場合、準確定申告の期限は、前年分、本年分とも相続の開始があったことを知った日の翌日から4か月以内です。 相続人が2人以上いる場合は、連署して準確定申告書を提出しますが、他の相続人の氏名を付記して各人が別々に提出することもできます。この場合、申告書を提出した相続人は、他の相続人に申告した内容を通知しなければなりません。
準確定申告における所得控除の適用については、国税庁のホームページなどで調べることができます。
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4.相続税の申告(10か月以内)
相続税は、相続や遺贈によって取得した財産などの合計額(債務などの金額を控除し、相続開始前3年以内の贈与財産の価額を加算する。)が基礎控除額を超える場合に、その超える部分に対して課税されます。
課税される場合、相続税の申告が必要となりますが、その期限は、被相続人が死亡したことを知った日の翌日から10か月以内です。
相続税の申告をしないと、本来の税金のほかに無申告加算税などが課される場合がありますので、注意を要します。
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5.遺留分減殺請求(1年以内)
遺言で処分できない権利が遺留分です。相続財産の2分の1(直系尊属だけの場合には3分の1。遺留分のある相続人が複数いる場合には、この割合に法定相続分をかけた割合)が遺留分として保護されます。兄弟姉妹には遺留分はありません。遺留分を請求する期限は遺留分侵害の事実を知った時から1年です。この請求(遺留分減殺請求)は内容証明郵便により行うのが通常ですが、調停等の申立によって行うことも可能です。